いよいよ年の瀬も押し詰まってきた。ことしはまさに申年。大荒れの年だったと言っていいだろう
▼小欄でもその都度触れてきたのでここでは繰り返さないが、政治、経済はもちろんのこと、社会、災害、スポーツまで、国内に限らず世界中が騒がしかったのだから徹底したものである。まあ悪いことばかりでもなかったが。さて来年はどんな年になるのか。恒例により「干支(えと)」の教えるところを紹介したい。来る2017年は「丁酉(ひのととり)」である。「丁」とは壮年の男子を意味するという。いわば働き盛りで、結果を出せるまでに力をつけてきた段階。成長期の頂点は過ぎたが、脂が乗っているため盛んに前へ出ようとする。活発で発展的な動きが特徴だ
▼一方、「酉」の原義はニワトリでなく、「果実が極限まで熟した状態」をいうのだとか。成長期は終わったものの、最高の成果が得られるところに来ている。おいしく食べるのか、それとも熟れすぎて腐らすのか、大きな分かれ目に立つ。脂が乗った「丁」と、極限まで熟した「酉」の合わさったのが「丁酉」なのである。両者の勢いに違いがあるのにお気付きと思う。つまり代替わりしたばかりの二代目社長と、まだ鼻息の荒い会長が一緒に会社を経営するようなもの。吉と出れば大化けするが、凶となれば悲惨な末路をたどる
▼ことしは既存の秩序や常識が覆された年だったが、どうやら来年も一筋縄ではいかなそうだ。ただ上手にかじを取れば発展が見込める上に、熟した果実も味わえる。できれば好機をトリ込みたい。