朝起き出して素足で板の間を歩くと、足裏を刺す氷のような冷たさに思わず声が漏れる。「うわあ」「冷てー」。時にはつい、「全くふざけてもらっちゃ困る。きょうはしばれすぎじゃないか」なんて、誰にともなくぶつぶつ文句を言ってみたりして。きっと覚えのある人は多いだろう
▼「寒の入り多くなりけり独り言」(加藤容子)というわけである。きのうは小寒で寒の入り。これから節分までが一年で最も寒い。新年を迎える準備だ、お年玉だと年末年始の出費がかさみ、家計や懐が一年で最も寒くなるのも正月明けのこの時期かもしれない。しばらくは厳しいやりくりに、つい独り言も増えてしまうのでないか
▼ところで寒中暖ありではないが、最近、大いに景気のいい話もあった。4日の東京株式市場大発会で、日経平均株価が1万9594円と、1年1カ月ぶりの高値を付けたというのである。ただ、これも企業と株主にはいいお年玉となったが、デフレに体力を奪われた庶民には遠い世界の出来事か。安倍首相が今、最も関心を寄せているのが、まさにそのデフレという寒に入ったままの日本経済だろう。年頭の会見で「本年も経済最優先、デフレ脱却に向けて金融政策、財政政策、成長戦略の三本の矢を撃ち続ける」と語っていた
▼インフラ整備や雇用など経済再生に重点を置く2017年度予算政府案も決まり、20日から通常国会が始まる。経済効果を最大にするには早期の成立と執行が欠かせない。つい文句を言いたくなるような、お寒い国会茶番劇などないと期待はしているが、さて。