たらいを日常生活で使っていたことがおありだろうか。当方は経験がないため、その道具名を聞いてまず思い浮かべるのはザ・ドリフターズ主演の『8時だョ!全員集合』である
▼前半のコント部分で、毎回、頭の上に金だらいが落ちてくるお決まりの小ネタを見ていたせいだ。ドリフメンバーの絶妙な間と小気味の良い音で、分かっていてもつい笑ってしまったものである。毎週土曜日の夜が楽しみで仕方なかった。底の平たい独特な形が目に焼き付いているのはドリフのおかげというわけ。現在、日本列島を覆っている寒気がまさに、そのたらいのような形なんだとか
▼日本気象協会によると北日本の上空5000mに平年より5度低い氷点下36度の空気が流れ込んでいるそうだ。寒気は通常、点や線で動くため長く続かないが、今回はたらいの底のような大きな面でゆっくり移動しているため、厳しい寒さがしばらく居座るらしい。氷水でいっぱいのたらいが、体の上をゆっくり通り過ぎていくようなものか。きのうは札幌の大通を歩いていてもしばれで顔がこわばった。札幌は今季最低の氷点下9・2度だが、陸別は道内最低の同25・6度を記録したという。「頭の奥キーンと鳴れる寒さかな」水野美春。想像しただけで身が縮まる
▼寒気は2段構えで、西日本に勢力を広げて今週末、また次の底が来るらしい。ちょうどセンター試験である。暴風雪や大雪の予報だから、受験生はもちろん親御さんらも万全の備えをしておいた方がいいだろう。このたらいはドリフと違って笑い事では済まない。