本道製のビールが初めて売り出されたのは1877(明治10)年のことだったという。ちょうど140年前である
▼現物を味見するわけにもいかないが、記録では最初から相当うまいものができたらしい。冷涼な気候が醸造に適していたようだ。原点はその前年に設立した「開拓使麦酒醸造所」だが、今ではサッポロ、キリン、アサヒといった主要各社が本道に工場を置く。道民とビールの関係は水より濃いのである。随分と飲んでいる気がする、というのは思い込みでも何でもなく、実際に消費量は多い。少し前の資料になるが、国税局の2012年度「成人1人当たりの酒類販売(消費)数量表」を見ると、本道はビールが26・9㍑で47都道府県中7位だった。500㍉㍑缶に換算すると1年間で約54本飲んでいることになる
▼夏などはジョッキを次々と空けるから、それくらいはすぐなのかもしれぬ。まあ、1人で2人分、3人分と飲んでいる人もいよう。自分の腹を見下ろし、うなずく人も多いのでないか。ところで全国的にはこのビール消費量、年々落ちる一方らしい。国内のビール大手5社が16日発表したビール類出荷量によると、発泡酒や「第3のビール」も含めた合計が前年比2.4%減の525万㌔㍑にとどまったそうだ
▼12年間一度も前年を上回ったことがないのだとか。主力の飲食店向けが落ち込んでいるというから、長引くデフレの影響もあるのだろう。あさってから通常国会が始まるが、そろそろアベノミクスに目鼻をつけてくれないと、ビールとの関係は薄まるばかりである。