天皇退位の論点整理

2017年01月25日 09時47分

 なぞなぞを一つ考えた。単純な足し算である。いささか難解かもしれないがご容赦願いたい。問題は次の通り。「船頭多くして船山へ登る」に「大山鳴動して鼠一匹」を加えると何になるか

 ▼「ああ、あれかな」と、すぐにピンときた勘のいい人もいよう。あまりもったいぶっても何なのでさっさと言うが、答えは「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」が23日に公表した、結論があいまいな論点整理である。もともとこの程度のもので良しとするつもりだったのだろうか。退位問題の本質に、ズバリと切り込む論点を提出するものだとばかり思い込んでいたが。どうも見たところ、昨年11月の専門家へのヒアリングで、行き先の違う船頭が多く乗り合わせた結果、山を動かすどころか振り出しに戻ってしまったようだ

 ▼かろうじて、政府の狙いとされる「退位は一代限り」の方向をにじませてはいるものの、こんな考えがある、あんな考えもある、課題だってこれだけある、とさっぱり要領を得ないのだ。昨年8月の天皇陛下の「おことば」を振り返りたい。注目点は「象徴」である。陛下はそれを、国民の幸せを祈るとともに寄り添う存在と考えておられた。旅も含めた務めはそのために大切なものだと

 ▼陛下はいわば現場感覚を語ったのだろう。戦後初の天皇として長年務めを果たしてきた上で、である。専門家も有識者会議も政府も、現場を無視した空論を並べてはいないか。現場が常に正しいとは限らない。ただ、その海のことを一番よく知っているのは、その海で生きてきた船頭である。


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