冬は火事の季節

2017年01月30日 09時44分

 深い印象を残すその季節特有の情景を、五七五の文字形式で刻む文学が俳句である。必ず季語を入れる決まりは多くの人がご存じだろう

 ▼ただその一つに「火事」があるのはあまり知られていないのでないか。表すのは冬。火を使う機会が増え、空気が乾燥して風も強いため火事が発生しやすいからという。こんな句があった。「火事跡の鉄瓶に蓋ありにけり」五十嵐研三、「茫然とせる横顔に火事明り」多田遊輪子。その場の風景が目に浮かぶ。加えて筆者の胸の内にはどうにも生々しい恐れの感情が湧き上がってくる。それというのも、昨年11月末に筆者の家の近所で火事が起こったばかりだからである

 ▼その日、朝早く外に出ると、濃い煙の臭いが辺りを覆っていることに気付いた。サイレンが鳴り響き、通りの向こうに何台もの消防車が集まっている。後からテレビで見たのだが、一軒家が全焼し、家族3人が亡くなったそうだ。冬はどこの家でも常に暖房の火が燃えている。人ごとと油断していられない。道総務部危機対策課がまとめた火災年報によると、死者の約9割は住宅火災で出ているそうだ。その原因の6割以上は逃げ遅れらしい。ぞっとする数字である

 ▼暖房器具本体だけでなくその電気配線にも注意が必要だ。製品評価技術基盤機構NITEが26日、注意を促していた。電源コード内の断線や最大消費電力を超えた使用で発火する例が後を絶たないという。ねじれや踏み付けも危険とのこと。「出陣のごとき身支度火の見番」西村周三。春までそれくらいの気合いで、用心を続けたい。


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