昭和も後半に入るころまでは、度を越してアルコールやたばこにのめり込む人のことを中毒者と言っていた。それが無くなったわけではないが、今は依存症患者と呼ぶ方が一般的だろう
▼ざっくり言えば薬物が直接作用して体に変調をきたすのが中毒、習慣性のある物や事に執着して脳が慢性異常を起こすのが依存症である。病気の本質は精神的な依存にあるため、こちらが大きく取り上げられることになったようだ。依存症の原因は薬物に限らない。極端な話をすれば、五感を刺激するものなら何でもきっかけになり得るのである。買い物やテレビがよく知られる例かもしれない。中には万引依存症(窃盗症)というものまであるそうだ
▼世界保健機関(WHO)が今回の国際疾病分類改訂で、新たに「ゲーム障害(依存症)」を精神疾患と位置付けた。オンラインゲームなどに心を奪われるあまり、生活や健康に深刻な問題を抱える人が世界中で後を絶たないのである。身近に思い当たる人も多いのではないか。精神疾患というからには単なるゲーム好きと区別する条件がある。それは時間や頻度を制御できない、生活の中でゲームを最優先し他の事に無関心、こういった状態が1年以上続く、だそう
▼難しいのは良かれと思いゲーム機器を取り上げると、今度は家庭内で暴力や破壊といった問題行動に発展することだという。患者は主に子どもや若者である。さて仕事を最優先させてのめり込み、家庭を危うくしかけた「仕事中毒」の昭和のおやじたちよ、ゲーム依存症から立ち直らせるいい知恵はないか。