ごみ屋敷なるものが日本中に案外と多くあるらしい。テレビのワイドショーでも時々話題になるが、近所にそれらしき家があるという人も少なくないのでないか
▼近隣住民にとっては迷惑千万な話だろう。衛生上の懸念があるし臭いも気になる。火事だって心配である。家主に苦情を言っても改善されず、トラブルになる例も多いと聞く。どうやら片付けを怠っているうちに、一人では対処できない事態に陥るようだ。知らぬ間に進行し、気付いたときにはすでに手遅れ、近隣は大迷惑、となるのがごみ屋敷の特徴だろう。ところでこれと同じことが宇宙で起こっているとしたら…
▼実は今の地球も膨大なごみに取り巻かれ、ごみ屋敷ならぬ「ごみ地球」の様相を呈しているのだとか。役目を終えたり壊れたりした人工衛星や剥がれ落ちたロケットの破片、いわゆる「宇宙ごみ」がその正体である。宇宙航空研究開発機構によると、10cm以上のごみが約2万個、1cm以上10cm未満に至っては約50万個にも上るという。これだけの数になるといつ現役の衛星や宇宙ステーションに当たらないとも限らない。しかも1cmのごみで自動車がぶつかったと同程度の衝撃があるという。ところが責任持って片付ける家主はいない
▼そこで日本の宇宙輸送船「こうのとり」6号機が、もう放置しておけぬと清掃に乗り出した。先月28日からわれわれのはるか頭上で除去実験を始めたそうだ。装置の不具合で難航しているようだが、ぜひ成功させてほしい。宇宙に出てまでごみトラブルに悩まされるなど夢がなさすぎる。