室蘭港と岩手県宮古港間を結ぶ定期航路〝宮蘭航路〟が22日に開業した。室蘭港に定期航路ができるのは、青森航路の2008年度の撤退以来10年ぶり。長年使われず放置され、市が大規模に増改築を施したフェリーターミナルビルも生まれ変わり、地域活性化の期待がかかる。
室蘭港のフェリー定期航路は1967年に青森港との間に誕生して以来、最盛期に6航路を有したが、最後まで残った青森航路の撤退とともにいったん幕を閉じた。だが、市のポートセールスなどの努力が実り、川崎近海汽船(本社・東京)が就航を決め、開業にこぎつけた。
乗下船客を迎え入れる室蘭港フェリーターミナルビルは、東日本フェリーが94年に整備している建物だが、撤退後は市が最終的に管理。市は就航に備えるため増改築を実施し、18年3月に完了した。1階に事務所と、乗船手続きの旅客取り扱いの機能を置き、2階には売店のほか授乳所を設置。時代に合わせWi―Fiにも対応した。
一方で、かつてレストランとして活用していたビル3階部分は封鎖。これまでもさまざまな案が挙がっているが、用途について市港湾部の担当者は「地元の飲食店などと出店交渉をしてきたが、残念ながらまだ決まっていない」と話すなど、ビルの利用策は今後の課題だ。
川崎近海汽船は、就航1カ月前の5月22日付で1階部分に8人体制の室蘭支店を設け、営業を開始。船は、旅客600人、トラック69台、乗用車20台の積載が可能な〝シルバークイーン〟を使用。22日から(宮古午前8時発―室蘭午後6時着、室蘭午後8時発―宮古翌午前6時着)のダイヤで、1日1往復体制で幕を開けた。
同社の担当者によると、20日時点の予約状況で「おかげさまで宮古発は満席、室蘭発は大部屋の一部以外は埋まった」と、幸先良いスタートを迎えた。開業に合わせ、川崎近海汽船が20日に出港記念祝賀会、市が22日の来港に合わせセレモニーイベントを実施。就航を祝した地域を挙げたイベントも行うなど期待が高まっている。