宇宙には自ら光を発する恒星が数限りなくあるが、わが地球に身近な恒星といえば太陽だろう。地球が生命豊かな星でいられるのは、このエネルギーあってこそ
▼離れ具合がまたちょうど良かった。光が約8分で到達する距離。ストーブで温まることを考えると分かりやすい。近過ぎるとやけどするし、離れ過ぎると凍えてしまう。地球が他の惑星メンバーを差し置き快適な場所にいられるのはまさに奇跡というわけ。生命を育む環境を生み出す恒星と惑星の最適な配置。そんなまれとも思える出来事が、宇宙には案外多いのかもしれない
▼米国や欧州などの国際チームが先頃、地球の39光年先で生命が存在してもおかしくない惑星を見つけたと発表したのである。恒星「トラピスト1」を周回する7個の惑星だという。5個が地球とほぼ同じ大きさ、2個がやや小さいらしい。このうち恒星から遠い方の3個には水の海が存在する可能性があるのだとか。海があれば地球と同じ歴史が進行したとしても矛盾はない。SF作家J・ティプトリー・ジュニアに中編「一瞬のいのちの味わい」がある。過剰な人口増加に悩む地球から植民可能な惑星を探しに行く話だが、主要人物の一人がこんなことを言う。「あなたたちはこの新しい世界もまた地球のような地獄にしてしまうでしょうね」
▼今回の発見に対し、「第2の地球だ」との感想があったのを見て思い出した。生命の星発見に興奮するのもいいが、その星はその星の生物のもの。他の星の奇跡を横取りするような考えまで地球の外に持ち出すことはない。