北海道建築士会まちづくり委員会は7日、釧路市観光国際交流センターでまちづくりフォーラムを開いた。釧路支部や全道各支部の会員、釧路の市民団体関係者ら約50人が参加。地域の活性化策を考えた。
地域が抱える問題を知ることで今後のまちづくりのヒントを得ようと、道内各地で年1回開催している。8回目となる今回は、夕焼けの美しさを国内外に発信し観光客を増やす取り組みを続ける釧路夕焼け倶楽部との共催で「マチの宝を活かしたまちづくり」をテーマとした。
冒頭、針ケ谷拓己委員長は「まちづくりとは、地域住民が主体となり、まちを魅力的にするためハード、ソフト両面から改善していくことで、景観、環境、文化、歴史、経済、人づくりなど広範に及ぶ活動全て」と説いた。
来賓の蝦名大也釧路市長も「地域に定住する皆さんが夢や願いを持って活動すること、その一つ一つがまちづくりにつながる」と述べ、実りある議論を期待した。
パネルディスカッションでは、釧路夕焼け倶楽部代表の芳賀久典氏、不動産鑑定士、再開発プランナーの資格を持ち、幣舞橋のたもとでカフェレストランを運営する釧路倶楽部代表の湯城信氏、魅力的な釧路人紹介を通じた活性化に挑む市民団体「クスろ」代表の夏堀めぐみ氏、釧路支部の女性委員長を務める金子ゆかり氏がそれぞれの取り組みを伝えた。
芳賀氏は、夕焼けのライブ配信やフォトコンテストなどで釧路の魅力を広め、世界から憧れられる地にしたいと表明。湯城氏はカフェレストラン釧路倶楽部について、1977年に日ソ友好会館として造られ、当時は空き家となっていた建物をリノベーションしたものだと紹介した。
夏堀氏は、釧路に住む魅力的な人々をホームページで紹介し、実際に会いに行くツアーなども展開する「クスろ」について説明。まちづくりを担う人材を増やすため、小学生にドローンやプログラミング、ロボティクスなどの技術を身に付け、社会に貢献していくプロセスを学んでもらう「ロボティクスラボ」も手掛けていると述べた。
金子氏は、釧路支部の活動を報告。地元を少しでも元気にしたいとの思いで、市や町内会、学校などと連携して安全なまちづくり、美しいまちづくり、活気あふれるまちづくりに取り組んできたと伝えた。
釧路の課題について湯城氏は、コンパクトシティ化を実現しないと都市経営が成り立たないとして「北大通の背後にたくさんある駐車場に市営住宅を造るなど大なたを振るわないと」と指摘。芳賀氏は「北大通の中央を公園にして、駅から幣舞橋まで歩けるようにしては」と提案した。
夏堀氏はプロジェクトの継続には人手の確保が欠かせないと論じ、金子氏は「建築、建設に進みたいという子どもが減っている。活動していく中で、少しでも仲間を増やすことが大事」と述べ、「まだ自分たちにできることはあるのに、どうせ駄目だからと最初から諦めている人が多い」と苦言も呈した。
この後、参加者は6グループに分かれて実際にまちを歩き、資源を探って釧路の楽しみ方を提案するマップ作りを考えた。