女性3人組アイドルグループ・キャンディーズが引退直前に発表した「微笑がえし」(阿木燿子作詞)の歌詞にこんな一節があった。「お引っ越しのお祝い返しは 微笑にして届けます」
▼大好きなアイドルにそう言われたらこちらも笑顔で納得だが、現実には各種お祝い返しをいくらにするか悩むことも多い。一般的には「半返し」とされているものの、相手によっては「返し過ぎ」とかえって迷惑がられたりする。人の気持ちに関わることだから、そのあたりは相手の顔を思い浮かべながら一人一人判断するほかないのだろう。ところで個人間のやりとりではないが、こちらは相手や周りの反応を見ているうちに少々行き過ぎてしまったのかもしれない
▼ふるさと納税の返礼品のことである。総務省が先頃、「地方団体の様々な取組を応援する気持ちを形にする」趣旨から逸脱する返礼品が散見されるとして、各自治体に責任と良識ある対応を要請したのである。換金が容易なものや高額なものがあったらしい。筆者もそろそろどこかに納税しようと、少し前から情報サイトを眺めていた。これが地元の名産品めじろ押しで、見ているだけで楽しい。納税というより「全国うまい物めぐり」なのである
▼総務省は今回、返礼品は寄付額の3割以内にせよとのお達しを出したが、さてどうだろう。行き過ぎの見直しは当然としても、地場産業振興や交流促進、PRなど各自治体に確かな戦略があるなら一律の制限は不自由でないか。もちろん返礼が「微笑がえし」で済むならそれに越したことはないのだが。