日米経済対話

2017年04月20日 09時34分

 武芸者宮本武蔵は「景気を見る」ことを勝負の極意としていた。『五輪書』火の巻に記している。景気といっても経済状況の方でなく、観察して見て取れる様子の方

 ▼武蔵の教えはこうだ。「敵のながれをわきまへ、相手の人柄を見うけ、人のつよきよわき所を見つけ、敵の気色にちがふ事をしかけ(略)、先をしかくる所肝要也」(講談社学術文庫)。相手の実力を正確に見抜き、先手を奪うことが最も重要らしい。おととい、「日米ハイレベル経済対話」の初会合が開かれ、いよいよ日本とトランプ政権との経済交渉が始まった。早速、お互いの「景気を見る」腹の探り合いが繰り広げられているようだ。先頭に立って剣を交えるのは、麻生太郎副総理とペンス米副大統領である

 ▼まだ本格的な斬り合いには至っていないが、麻生副総理がTPPへの復帰を促せば、ペンス副大統領がそれは過去のものといなし、返す刀で2国間協定を持ち出すという具合。立ち合いは穏やかながら両者一歩も引かぬ構えである。日米の経済関係を象徴するものとして以前、対日年次改革要望書なるものがあった。米国を利する規制改革を日本が進めるためのいわば指示書である。多くの国民はその存在を知らず、公になったときには随分と騒ぎになったものだ

 ▼そこへいくと米国の総大将トランプ氏は、内容はともかくとして真っ直ぐ要求を投げ付けてくるから分かりやすい。常に大上段の構えをとり、力任せに打ち込んでくる型である。さて、相手の流儀もだいぶ把握できた。今度は日本の鮮やかな返し技を見たい。


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