これから一生、食べることに困りませんように―。赤ちゃんが生まれて100日ごろに、そんな願いを込めて行われる行事に「百日祝い・お食い初め」がある。乳歯が生え始める時期に合わせたものという
▼わが子や孫のためにと豪華な食事を奮発した人も少なくないのでないか。尾頭付きのタイや赤飯、歯固め石などをそろえるのが日本古来の形式だそうだが、今では食べるまねをさせるだけのところもあるようだ。やっと乳歯が出始めたどころか、最初から牙が生えていた観のあるこの人も先月29日、就任から100日を迎えた。トランプ米大統領のことである。米国に「百日祝い」があるかどうかは知らないが、就任100日は新政権を評価するうえで重要な指標とされるらしい
▼トランプ大統領誕生に一役買った米国民は100日たった現在、「これからは食べることに困りませんように」との願いを新たにしていよう。ただ、今のところ期待していた成果はとぼしく、お祝い気分一色とはいえないようだ。移民政策は暗礁に乗り上げ、オバマケアの撤廃にも失敗。議会との関係が悪いため閣僚人事も遅々として進まない。外交に少し見るべきものがあったとはいえ、これだけ政策が滞れば日本なら内閣が幾つか吹っ飛んでもおかしくない
▼ところがトランプ氏は相変わらず意気軒高だ。ビデオ演説で雇用を取り戻したことを主張したうえ、歴史の中で最も成功した100日だったと自画自賛する始末である。自慢もいいがここらでしっかり歯固めをし、将来に備えるのが先決のように思えるのだが。