陸自機北斗市山中で事故

2017年05月18日 09時31分

 ちょうど90年前の5月に大西洋を単独無着陸で横断したC・リンドバーグは、その後1931年に妻アンと本道上空を飛んでいる

 ▼2人は千島列島から根室に向かっていたのだが、濃い霧のため全く視界がなかったそうだ。緊急着陸を決め、高い山を目印に降下している最中、アンはこう恐れていたという。「あの山より低い山が高潮のような霧に覆われて、わなのように隠れひそんでいないとどうして言えるのか」。アンが手記『翼よ、北に』(みすず書房)にその時の様子を書き留めている。リンドバーグは山腹を巻くように降りていく。相変わらず視界はない。アンは心の中で叫ばずにいられなかったという。「神さま!このままでは、山にぶつかってしまいます!」。気付くと機は無事「武魯頓湾」に着水していた

 ▼残念ながら今回は、そんな幸運には恵まれなかったようだ。陸上自衛隊機が北斗市西部の山中で大破していた事故のことである。当日も低い雲のため視界が悪く、計器飛行をしていたらしい。希望空しく、搭乗していた陸自隊員4人全員が亡くなった。急患を運ぶ任務を帯び、函館空港へ向かっている途中だったそうだ。隊員たちは無念だったに違いない。痛ましい事故である

 ▼技術や計器が進歩した今でも、視界のない中での飛行は危険と隣り合わせということか。ただ緊急事態の連絡がないままレーダーから機影が消えるなど謎も多い。計器の不具合か、天候の急変か、どこかにわなが隠れていたのだろう。空の安全は本道救急医療の命綱である。徹底した原因究明を願いたい。


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