米ニュース専門放送局CNNの日本語サイトに出ていた新しい建築技術を見て目を見張った。何と空中に浮かぶビルだという。地球周回軌道に置いた小惑星からケーブルでつり下げるそうだ
▼にわかには信じ難いが大真面目な話らしい。ニューヨークの建築事務所「クラウズ・アーキテクチャー・オフィス」が最近、発表したものである。ビルの一番上は高度3万2000mに達し、時速480㌔で移動するとのこと。原理は単純である。炭素繊維やアルミなど軽量かつ高強度の建材でビルを構築し、頑丈なケーブルで小惑星とつなげるだけ。まあ、それを実現する技術がまだ実用段階にないのが課題ではあるが
▼さて、生活に必要なエネルギーや水の供給はどうするのか。電力は宇宙空間に設置した太陽光パネル、水は雲や雨から集めた水を使うそう。事務所によると、利点は洪水や地震、津波の被害からの解放。確かにそれも心配だが、坪単価がどれだけ天文学的数字になるのかも大いに気になるところである。このニュースを目にして、日本にも未来の建築構想があったのを思い出した。らせん構造を深海から立ち上げる清水建設の未来都市「OCEAN SPIRAL」、高さ4000mの富士山型都市を造る大成建設の「X―SEED4000」、大林組の宇宙エレベーターあたりがその代表格だろう
▼「天王星に買った避暑地のあさがほに夏が来たのを報せておかう」荻原裕幸。天王星とまではいかなくとも、宇宙に、空中に、深海に、人間が快適な避暑地を持つ日はそう遠くないのかもしれぬ。