外壁診断に「飛ばないドローン」 来春の製品化目指す

2018年08月02日 13時00分

 日東建設(本社・雄武)は、ビルやマンションなどの外壁診断装置「IDA―03」を開発中だ。プロペラの推進力でマシンが壁に張り付き、タイルの浮きや剥離などを衝撃弾性波法によって調べる、いわば〝飛ばないドローン〟。カメラを備えるため画像による目視確認も可能。屋上アンカーとワイヤを取り付けることから落下の危険が少ない。2019年4月の製品化を目指している。

壁に張り付いてタイルの浮きなどを調べる

 IDA―03は測定部とキャリア部で構成。キャリア部は4輪のRCカーをベースにプロペラ4個を備える。ドローン技術を応用し、プロペラの推進力で機体を壁に保持して、車輪の駆動力で壁を垂直方向に移動する。

 測定部にセンサーを備え、鋼球の打撃によってコンクリート中に入力した弾性波を計測し、波形の周期を確認する。周期の長い部分を剥離部と推定。データを基に非健全な箇所の当たりを付け、効率的な外壁改修に結び付ける。

 マンションやビルなどの外壁の浮き、剥離を調べられる。橋脚やトンネルといった土木構造物にも対応する。

 マシンはRCカーのようにコントローラーで手元から操作する。車輪は左右独立しているため、曲がりながら隣のタイル部分に移動することが可能。作業状況に合わせて、プロペラの出力などを制御することもできる。

 電源はAC100で、地上局を別置きすることでのケーブル供給を想定。屋上にアンカーを取り付け、マシンをワイヤとつなぐことで落下防止などの対策を講じている。

 キャリア部はインフラ点検ロボットを手掛けるボーダック(本社・埼玉県吉川市)、測定部は日東建設がそれぞれ開発を担っている。

 一般的なビル外壁診断の場合、建物周辺に足場を設置し、作業者がハンマーで壁をたたいて打音を聞き調べる。IDA―03では足場がいらず、作業者の主観性も入らないため均一な診断ができる。診断結果はデータとして残ることから、後々の経年管理にも役立つ。

 19年4月の製品化を計画。販売価格は500万円以下を目指している。

 技術開発部の岡本真さんは「高所による危険作業の軽減やコストの削減に効果的な装置」と長所を説明。久保元樹取締役部長は「これまでの展示会を通し、来場者の関心の高さを実感した。ニーズに応えられるよう、早く製品化したい」と話している。


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