稲田朋美防衛相

2017年06月30日 09時19分

 江戸後期の禅僧で歌人の良寛といえば、子どもたちと愉快に遊ぶ穏やかな人柄がまず思い浮かぶ。だからだろうか、他者への配慮に欠ける言葉には人一倍敏感だったようだ

 ▼悪い使い方をこんな『戒語』として残している。「ことばの多き/口のはやさ/問わずがたり/さしで口/手がら話/人の物言いきらぬうちに物言う/へらず口/ことごとしく物言う…」。誰でも一つや二つ思い当たることがあるのではないか。「風は清し月はさやけしいざともにをどりあかさむ老のなごりに」。老境に達しても皆と一緒に楽しく踊り明かそうとする天真らんまんな良寛さんにも、長い年月の間には口が災いになったことが少なからずあったに違いない。反省を重ねることで人格を磨いてきたのだろう

 ▼さて、こちらの人はそんな良寛さんに学ぶべきかもしれない。稲田朋美防衛相のことである。舌禍が止まらない。今度は東京都議選の自民党候補の応援演説で、自衛隊が投票を要請しているかのような発言をしたのである。良寛さん流に言うと、「ことばの多き」。つまりは何も考えず思い付くままをペラペラ話したのだろう。ただ、今は国民の9割が自衛隊に良い印象を持っているご時世だ。思想信条に関わりなく支持されている存在である

 ▼そんな中で自衛隊を自民党のもののように扱い、政治利用しようとするのでは閣僚としての資質を疑われても仕方ない。安倍首相は28日、党総裁としておわびしたが、はて当の本人は。何度も繰り返すところを見ると反省は苦手とみえる。そんなことでは人格も磨かれまい。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 東宏
  • 日本仮設
  • 川崎建設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,460)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,279)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,191)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,074)
おとなの養生訓 第170回「昼間のお酒」 酔いやす...
2019年10月25日 (852)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。