日欧EPAの今後

2017年07月25日 09時19分

 ビールのおいしい時期である。殊に汗を流した後の最初の一杯は至福と言っていいのではないか。筆者もおととい、北ガス「6時間リレーマラソン2017in札幌ドーム」に会社の同僚らと参加し、打ち上げでそんな一杯を楽しんだ

 ▼ただ腹が膨れるため延々飲み続けてはいられない。切り替えの有力候補の一つは冷酒だろう。締めにもりそばをすすりながら、キンと冷やした日本酒を口にするのも乙なものである。酒を大いに好んだ文人若山牧水の一首を思い出す。「足音を忍ばせて行けば台所にわが酒の壜は立ちて待ちをる」。まあ、ここまでくると少々行きすぎの感がないでもないが、気持ちはよく分かる

 ▼菅官房長官が23日、酒米の「山田錦」を特産とする兵庫県三木市を視察で訪れ、日本酒の対欧輸出を拡大する考えを表明した。欧州の酒愛好家たちにも牧水の思いを共有してほしいということだろう。EUとの経済連携協定(EPA)で日本酒にかけられていた関税の即時撤廃が決まったからである。日本酒の魅力は全国に数多くある中小零細の蔵が良質で個性的な酒造りをしているところにある。欧州で市場が広がれば地域経済は潤い、ゆくゆくはワインのような産地観光も期待できよう

 ▼ただこのEPA、喜んでばかりもいられない。本道と競合するチーズの輸入枠拡大と税率引き下げでも合意しているのだ。小さな酒蔵のように個性豊かなチーズ作りで伸びようとする工房の芽が摘まれてはかなわない。過保護は必要ないが、EPAを決めた政府の責任として国内産業を育てる工夫もいる。


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