冷蔵庫が壊れて買い替えたばかりなのに、今度は電子レンジの調子がおかしい。そういえば最近は掃除機の吸い込みが弱いし、テレビも突然消えたりする。家電は一つ故障すると次々連鎖していく。似た経験をした人は少なくないのでないか
▼怪奇な現象のようだが考えられる原因は幾つかあるという。有力な説は購入時期。家電の耐用年数は10年程度だから、一斉にそろえた物は同時期に寿命が来るというのである。イタリア北部ジェノバで14日に発生した高速道路高架橋崩落事故の報に触れ、そんな家電と耐用年数の関係を思い出した。この高架橋は1960年代に建設されたもので既に50年以上が経過。イタリアでは近年、主要道路で高架橋の崩落が相次ぎ、老朽インフラへの懸念が高まっていたそうだ
▼そもそも60年代は安全基準自体が低かったという。それが抜本的見直しもされないまま、交通量が増大した現在まで使われていたらしい。国の予算緊縮でインフラ整備に手が回らない現実もあったと聞く。人ごとでない。安全基準や維持補修計画に差はあれど老朽化が深刻なのは日本も同じ。国土交通省によると建設後50年以上のインフラは、15年後には道路橋(約40万)で67%、トンネル(約1万)で50%、河川管理施設(約1万)で64%といずれも5割を超える
▼家電なら「一遍に壊れてまいった」と笑い話にもできるがインフラはそれで済まされない。人命にかかわる。「日本は大丈夫」も今や安全神話の類いだろう。十分に予算を付けインフラを保守する。事故を未然に防ぐにはそれしかない。