JR野幌駅周辺の「江別の顔づくり事業」の完了が近づいている江別市。駅の高架を機に土地区画整理事業を始めたことで、南北の移動が可能になり駅周辺の住宅が増え、新たなにぎわいを生み出した。景観が変わろうとしている中、人口減少対策や観光による地域振興、高齢化への対応など、多くの自治体が抱える課題に江別市はどう向き合うのか。今後の方向性を三好昇市長に聞いた。(建設・行政部 瀬端のぞみ記者)
―顔づくり事業の成果は。
事業完了後に出ると思っていたが、2016年度から17年度にかけて住宅メーカーが緑ケ丘地区に戸建て150戸を整備したほか、若葉町でも宅地造成が始まった。イオン江別店によると、行き来ができるようになったことで野幌駅南側の人も来るようになったという。これまで野幌には不便さがあったが、宅地開発が進み、移り住んだ人が住みやすいと言ってくれている。
今後期待するのは、(9月下旬に事業予定者を決める)民設民営で設ける宿泊施設と市民交流施設だ。アクセスの良い南口駅前広場の隣接地に施設を設けることで、イベントやサークル活動などで人が集まりやすくなるほか、野幌駅の利用者も増える。そうすると、近くにある8丁目通商店街に足を運ぶ人が増え、商店街の活性化につながる。
―人を呼び込むための施策は。
16年度から住宅取得支援を始めた。活用する人が予想外に多く、18年度は予算を増額した。同居ではなく、親と日常的に往来できる距離で暮らす「近居」への利用が多い。子育てをお願いし、自身は働くことができるなど究極の福祉支援だと考える。
観光も人口減少対策だと思っている。江別には「やきもの市」をはじめとするイベントは多いが、温泉や景勝地はない。ただ、ブロッコリーやピーナツ、小麦といった農業の強みがある。パン屋さんや野菜直売所がある「ゆめちからテラス」や、パン屋のどんぐり、コメダ珈琲店、建設中の蔦谷書店など、人口が増えることで民間投資も活発になっている。
江別を知ってもらう最大のチャンスなので、運動公園や原始林に訪れた人が市内で楽しめるよう、『江別に行ったらこれを食べよう』というものを作りたい。
―今後のまちづくりをどう進めるか。
第6次総合計画(14―23年度)の5年目を迎えている。前半は顔づくり事業や住宅取得支援を核に取り組んだ。この結果、人口の社会増で民間による住宅開発が進んだ。進め方が間違っていなかったと考える。今後は、住み替え支援をいかにスムーズに行えるか、その仕組みを作らなければならない。
江別駅前の整備は、次の主要事業になると思う。というのも、駅の近くから建設中の蔦谷書店への遊歩道「四季のみち」が続いているからだ。蔦谷書店が完成すると、江別駅から新たな人の流れが生まれることが考えられる。この人の流れが、駅周辺で〝何かやろう〟という動きに発展することを期待している。