空自初の女性戦闘機操縦士

2018年08月27日 07時00分

 つらい挫折を必死の思いで乗り越えて新たな境地に立つ。そういった経験をしてきた人は少なくないのでないか。一度はどん底まで落ち込んだ人物が壁を破り立ち直っていく物語も昔から人気がある。主人公に自分を重ねることで勇気をもらえるからだろう

 ▼トム・クルーズ主演の『トップガン』もそんな映画だった。訓練中、故障による墜落で僚友を失った米海軍F14パイロットのトムが再起する過程を描いている。子どものころにこの『トップガン』を見て以来、ずっと憧れていたのだという。航空自衛隊で初めて戦闘機の操縦士になった松島美紗2等空尉(26)のことである。空自の中でも格段に厳しいとされる戦闘機教育課程を全うし、先週、新田原基地で修了証書を受けたそうだ

 ▼ニュースを見ると小柄で柔和な表情をしたごく普通の女性である。大したものではないか。女性用の訓練体系があったわけでもあるまい。男性と肩を並べての訓練には人一倍どころか二倍三倍の努力が必要だったはずである。松島さんは2014年に防衛大を卒業して入隊。当初は輸送機などの教育課程で学んでいたが、15年に戦闘機への女性配置制限が撤廃されたことから志願して同課程に編入したのだとか。今後さらに数カ月の訓練を経てF15の操縦士として領空侵犯の警戒任務に当たる

 ▼これまで女性には無理とかたくなに信じられてきた仕事の壁に風穴を開けた意義は大きい。ある分野の先頭に立つ人を「トップガン」という。まさに彼女がそうである。この真実の物語にどれだけ多くの人が勇気をもらうことか。


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