旭ダンケ(本社・旭川)のグループ会社である三晄プレコンシステム千歳工場は、プレハブ建築協会が制定するPC部材品質認定で、道内初となるH認定を取得した。本州を中心に超高層化が進むビルやマンションなどに必要とされる、高強度プレキャストコンクリートを製造できる工場として、お墨付きをもらったこととなる。最大100ニュートン(以下N、1平方㍉当たり)の強度まで対応。現場の人手不足が叫ばれる中、打開策の一つとなるコンクリートのプレキャスト(工場製作)化を一層浸透させたい考えだ。
1日付で取得した。部材の設計基準強度の範囲は70、80、90、100N。千歳工場は全国15カ所目の100N認定工場で、道内では1カ所目となる。
プレキャスト部材の性能・品質維持を目的に、プレハブ建築協会が1989年に設けた自主制度。中高層の建築用PC部材を製造する工場を対象とし、ベターリビング(本部・東京)などの審査を踏まえて、協会会長が認定する。H認定のほか、設計基準強度60N以下を対象としたN認定がある。
千歳工場は2005年にN認定を取得した。昨今の建築物の超高層化や耐震に対するニーズの高まりから、H認定の取得を模索。3年ほどかけて実現させた。
高強度コンクリートの製造には、練り上がり温度を一定に保ったり特殊な材料が必要になるなど、より高度な技術や知識が不可欠だ。担当した山村安宇管理係長は「本州の工場と比べ、寒冷地の北海道は製造面のハンディがあり、合格までの道のりは長かった」と振り返る。既存の製造ラインを改良したり、一部機器を設備投資するなどして認定を得た。
コンクリートの部材を高強度化すると階層を高く取れるほか、部材断面が小さく済むことから、居室空間を広く取れる利点がある。プレキャストコンクリート自体は工場生産のため、現場での打設後養生などの期間を省くことができ、工期短縮につなげられる。
本州の物件で70NのPC部材を受注し、今冬に出荷予定だという。道内でも高強度化のニーズは増えていて、マンションやビル、公共施設と広く浸透させたい考えだ。
熊野勝文社長は「千歳工場が得た技術やノウハウを旭ダンケの板倉、つくば、岩見沢の各工場と共有し、グループの技術力を底上げしたい」と話している。