風疹が流行の兆しを見せているそうだ。国立感染症研究所への2018年風疹患者累積報告数が今月22日現在で184人に上っているのである。同時期としてはここ4年で最も多く、既に去年、おととしの年間累計数を超えているという
▼千葉県62件、東京都47件と今のところまだ首都圏が中心だが、本道も油断はできない。報告数が7件あり47都道府県中第6位。かなり上に位置する。大いに警戒する必要があろう。風疹自体は別名「三日ばしか」と呼ばれるくらいでさほど恐れる病気でもない。全身に発疹が出て高熱とリンパ節の腫れに苦しめられるもののおおむね数日で軽快する。幼い子どもの場合は特に、かかっても平気でいることが多い
▼心配なのは妊婦が感染することである。難聴や心疾患を伴う先天性風疹症候群を抱えた赤ちゃんが生まれてくる可能性が高まるのだ。女性はその怖さをよく理解しているため、感染を減らすには妊娠出産期の女性や妊婦の周りにいる主に成人男性の自覚が必要になる。筆者も20年ほど前に感染した。幼児だった息子が拾ってきたのをもらったのである。「昔かかったはず」と母に聞きすっかり安心していた。知らないうちにウイルスを媒介していたかもしれないと思うと冷や汗ものである
▼今後はさらに感染が拡大する懸念もあるという。人口密度が高く人の出入りも激しい首都圏で増えていることや、夏休みで人が全国的に移動したことがその理由だ。予防接種で簡単に防げる病気である。自分だけの問題ではない。周りの人を守るため気掛かりならまず病院へ。