厚真町の土砂崩れ

2018年09月11日 07時00分

 宮沢賢治の詩「雨ニモマケズ」はよくご存じだろう。こんな一節で始まる。「雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ 丈夫ナカラダヲモチ 慾ハナク 決シテ嗔(イカ)ラズ イツモシズカニワラッテヰル」

 ▼今回の地震により引き起こされた厚真町の土砂崩れではこの詩に描かれているような、ふるさとのために一生懸命働き、人々に愛され、静かに生活を営んでいた多くの方々が犠牲になった。友人や親族らが、亡くなった方々の人となりを語っているのを報道で見て知ったことである。暗闇の中、土砂は強い揺れと同時に家屋を襲ったに違いない。彼らには何が起こったかも分からなかっただろう。平穏な暮らし、尊い命を一瞬にして奪われた無念はいかばかりか

 ▼きのう、最後まで安否不明だった幌内地区の男性が見つかり、間もなく死亡が確認された。これで土砂崩れによる死者は36人。36人とは…。耳を疑う人数である。この未曽有の大災害の前ではどんなお悔やみの言葉も空しい。停電で情報が乏しかったため、道民がこの惨状に目を向けられたのはほとんど数日たってからのはず。そんな中でも自衛隊はじめ消防、警察らは直後から昼夜の別なく必死の救助活動を続けていたそうだ。生存者こそいなかったが、ほぼ3日で全員を見つけ出した彼らの使命感には本当に頭が下がる

 ▼地震は最悪の時間を選び、集落背後の弱い地質を狙い打ちした。悪い条件が幾つも重なったわけだ。住居の立地や対策など今後考えるべき点もあろう。ただ、今はまず何より犠牲者の死を悼みたい。


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