今のような季節の変わり目に、お気に入りの衣料品ブランドからセールの案内メールが届くとうれしくなる。通常価格では高過ぎて手も足も出ない商品が、清水の舞台から飛び降りずとも買えるのだから自然頬も緩もうというもの
▼カタログを眺めると30%や50%割引がほとんどだが、中には70%割引まである。サイズや色柄がそろっているとはいえないものの、好みに合う物が見つかればこれほどお得なことはない。衣料品に限らず、「割引」の言葉に心を動かされない人はそう多くないだろう。となればこちらもお客さんを呼び戻すのに相当な効果があるに違いない。「北海道ふっこう割」である。胆振東部地震で予約キャンセルなど大きな被害が出ている道内観光にてこ入れするため、政府が本道旅行者に宿泊費を補助する復興支援を決めたのだ
▼1泊2万円を限度に日本人なら5―7割を3泊まで、外国人なら7割を5泊まで補助するという。訪日客に厚い配分である。道内全域の旅行が対象になるそうだ。2016年熊本地震の後に導入された「九州ふっこう割」が観光需要喚起に貢献したのはご存じの通り。8月の政府観光戦略実行推進会議では事業費180億円に対し600億円の旅行消費効果が生まれたと報告されていた。北海道もそうなると良いのだが
▼ただ衣料同様、買ってはみたが現物はがっかりでは困る。期待以上の素晴らしさを提供して、リピーターになってくれるのが理想だろう。「転んでもただは起きぬ」の精神で、この試練をホスピタリティ向上のチャンスに変えられるといい。