除排雪を雪冷房に NEDOが雪屋媚山商店の実証実験紹介

2018年10月13日 18時00分

 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、パシフィコ横浜で2018年度新エネルギー成果報告会を開いた。バイオマス分野や熱利用分野、太陽光発電分野など5つのテーマについて、各事業担当者が進ちょく状況を報告。美唄市内で実証実験が進む都市除排雪を利用した高効率熱供給システムや、地下構造物の土留め壁に地中熱交換器を入れ込む都市インフラ活用型地中熱利用システムなど多様な研究を紹介した。

 雪屋媚山商店(本社・美唄)は、美唄市の道路除排雪を雪冷房に利用したデータセンター空調運用技術について報告。道路除排雪堆積場の汚れた雪を熱源として使用することで、冷熱需要が高いデータセンターの空調コストを低減できれば、企業誘致につながるとした。

 同社と共同通信デジタル、データホテル、環境技術センター、ズコーシャ、室工大、美唄市の7者が事業に参画した。

 集雪や雪山構築には自治体の除排雪を転用。冷涼な気候から夏以外は外気で冷やして雪の消費を抑え、雪山下に二重床を使った熱交換路盤を設置し、熱回収効率を高めた。

 市内に設けた実証施設は、安い地価を生かしてゆとりのある設計をし、自然対流を生み出す高効率空調で運用コスト低減につなげた。

 雪屋媚山商店の本間弘達社長は「一般的なサーバー運用にかかる空調コストは年間15億円ほどだが、5分の1に低減できる」と成果を報告。さらに、データセンターの廃熱を陸上養殖工場や植物工場の暖房熱に利用するトータルシステムの構築も実証した。

 データセンター空調への有効性を立証した一方、北海道胆振東部地震を受け、「北海道は、災害の少なさが売りの一つとされていた。(誘致への)影響は大きい」と懸念を示した。

 日大、日商テクノ、住環境設計室は、既存一般住宅向け浅部地中熱利用システムの低価格化・高効率化を研究。システムの地中熱交換器で使用する鋼管を回転させながら地中に貫入させる新たな施工法と、地中熱交換器と冷暖房用室内機を連携制御するヒートポンプシステム制御技術を開発した。

 従来の初期設置コストの40%減に当たる5㌔㍗当たり150万円まで削減。地中から室内までエネルギーをトータル管理することで利用効率を10%以上向上させた。年度末の事業終了後に実用化を進め、東北圏内から全国へ普及を目指す。

 三菱マテリアルテクノは、秋田大などと進める都市インフラ活用型地中熱利用システムを発表。ビルの地下建築物や地下鉄といった地下土木構造物の土留め壁の中に、地中熱交換器をH形鋼と一緒に建て込む仕組み。従来のボアホール方式に比べて直接工事費を49―63%削減できる見込みだ。

 東北大などは、特殊な電磁波と超音波処理を利用した温泉熱利用発電のためのスケール(水あか)対策物理処理技術を確立。地下配管に振動スピーカーや電磁場発振機を取り付けることで、配管内部へのスケール付着を防止し、効率的な発電を支援する。

 実証試験では従来の薬品などによる対策と比べ、年間対策コストを90%低減させた。東北大大学院環境科学研究科の梅木千真助教は「セメント工場の排水スラリーや、加工現場での攪拌(かくはん)工程などにも応用できるのでは」と期待を寄せている。


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