最近の家電は機能が多過ぎて使い方がさっぱり分からない。新しい物を買うたびそう嘆いているのは筆者だけではないだろう
▼少し前のことだがテレビを買い替えた。最初に設定をしなければならない。手順通りに進めていると途中でインターネットにつなげという。視聴できる番組が増える上に外出先からスマホで録画予約もできるから便利というわけだ。よく分からず結局活用していない。万事がその調子である。全ての機能を縦横に使いこなす人も中にはいよう。ただそう多くはあるまい。日常的に使う物は単純で分かりやすいに越したことはない。消費税も同じでないか。安倍首相が今週初め、消費税率を予定通り来年10月に引き上げると表明した。2%上乗せして10%になる
▼ところがこの新制度にもいろいろと複雑な機能が付くのだとか。軽減税率の導入がそれである。間違いなく負担が増える家計に配慮し、これまでのような税率引き上げ後の経済腰折れを防ぐための措置という。ではどんな中身か。主な対象は「酒類と外食を除く食品全般」。一見単純だが例えばコンビニで買って帰ると8%なのに中で食べると10%になるそうだ。電子決済なら2%分をポイント還元する案も検討されているらしい
▼店の対応や客の理解不足を思えば現場が混乱するのは火を見るより明らか。社会保障の財源確保と財政健全化のための増税だが、分かりにくさと重税感から消費を冷え込ませるなら本末転倒だ。あるのはスイッチとチャンネルのみ。政府はそんな昔のテレビくらい明快な制度を用意すべきだろう。