地震などに対し建物の揺れを抑える免震・制振装置の検査データ改ざん問題でKYB(本社・東京)は19日、東京都内で記者会見し、不正の疑いのある免震オイルダンパーが使われている庁舎70件を公表した。本道は道庁本庁舎、札幌市白石区複合庁舎、幕別町本庁舎の3件が含まれた。斉藤圭介専務と子会社であるカヤバシステムマシナリー(同)の広門茂喜社長が謝罪し、現在の調査状況を説明した。
■確認追い付かず全国で70件
KYBが公表したのは、改ざんの有無を確認中のものも含めた986件のうち、不特定多数が利用する庁舎について、所有者などの了解が得られた70件。揺れを抑える減衰性能について、基準値からのぶれを15%以内に収めるという自主基準を設定していたが、自社基準不適合が11件、所有者の基準外が17件、42件が改ざんの有無不明とした。道内3件は不明となっている。都内で工事中の庁舎1件を総数に追加した。
病院や複合施設など該当する民間施設も多数確認されているが、所有者や施工者への確認、公表の了承に関する連絡が滞っている状況だ。
改ざん問題を公表した16日から調査を始め、住所の特定しやすい公共施設から着手した。斉藤専務は「建築会社へのアプローチと庁舎へのアプローチで手いっぱいになってしまって、民間にはまだ(調査が)行けていない」と話している。追加の公表については、来週以降順次まとまった段階で進捗(しんちょく)を公表する考えだ。
該当施設の交換コストについては、製品コストは試算できるが、施工コストが建物ごとに条件が違うため、仮設の想定を何パターンか見積もりを開始しているとした。今後の製品の交換については、優先的にやるものを関係機関などとの協議で決定するとしている。
改ざんの有無を確認する文書が見つからないことなどが確認の遅れの要因となっている。斉藤専務は、「それぞれの購入者や建物所有者に対して、私どもがしてしまったことに関して多大なご迷惑をお掛けして申し訳ない」と謝罪し、「今は(該当施設を)特定してリストを増やしていくことが最も重要」として調査に全力を挙げる姿勢を示した。