激しい価格競争のため浮沈著しい小売業界の中にあって、近年勝ち組として成長を続ける業態に「100円ショップ」がある。「ザ・ダイソー」「セリア」「キャンドゥ」あたりが主流だろうか
▼先週末、最近オープンした一軒をのぞいてみた。食器から工具、化粧品、衣服、生活雑貨と何でもござれ。商品の充実ぶりには目を見張るばかり。しかもかつてのような「安かろう悪かろう」の品はほとんど見当たらない。消費者もここでは懐の具合を気にせず楽しく買い物ができる。100円に喜びという付加価値を感じさせてくれる経験でもあるのだろう。ところで同じ100円と価格表示がされていても、まるでうれしくないものもある。最近の灯油である
▼筆者が先日買いに行った札幌市内のGSでちょうど1㍑100円だった。18㍑入れて消費税込み1944円。道経済産業局の最新(11月26日)動向調査で全道の灯油価格平均が102・3円だから、まあいいところ。ただ冬場の最需要期にこの高値は痛い。灯油は60円くらいとの思い込みがあるものだから、100円と聞くとショックが大きい。1986年から約20年間、多少上下はしても60円程度を維持していたためそれが頭に染みついているのだ
▼加えて腹立たしいのは、発展途上国での需要増だ中東の不安定な政情だとまことしやかな説明はあるものの、なぜ高値が続くのか本当のところはよく分からないことである。石油業界にはそんな消費者無視の姿勢が根強い。価格以上の満足を提供する「100円ショップ」との一番の違いはそこだろう。