国の府省庁や自衛隊から中国の通信機器大手2社の製品が排除されることになりそうだ。政府が方針を固めたという。「読売新聞」がきのう伝えていた
▼2社の機器や半導体には細工が施されている可能性があるのだとか。それによって中国に機密が漏れたり、サイバー攻撃を受けたりする危険があるらしい。米国や豪州では既に排除が進んでおり、英国の諜報機関も警鐘を鳴らしている。日本も歩調を合わせる形だ。折しもカナダでその2社の一方「華為技術」(ファーウェイ)の最高財務責任者の身柄が拘束された。米国の対イラン禁輸措置に違反したとの疑いが持たれている。事実なら国際秩序を乱すもので信用はさらに失われよう
▼6日にはソフトバンクで大規模な障害が発生し、日中5時間ほど通信ができなくなった。個人はもとより同社を使う企業や官庁は大混乱。緊急通報にも影響が出た。中国と関係はないが、サイバー攻撃で政府機関のシステムが落ちる怖さを想像させるに十分だったのでないか。2社排除の報でもう一つ気に懸かったのは調達方法についてである。今後、一般競争入札は採用しないそうだ。本紙の読者なら価格の低さだけを判定基準とする一般競争の弊害はよくご存じだろう。安さだけで決めると安全や品質、技術力はないがしろにされがちである
▼一国の運営に影響を及ぼしかねない基幹インフラの通信機器がその方法で選定されていたとは。コスト意識が誤った方向に働いたままなのかもしれない。政府が見直すべきは中国の通信機器だけでなく、他にもまだありそうだ。