土木系総合誌『土木技術』(土木技術社)12月号が「アニメと土木」特集を組んでいると聞いて興味を引かれ、早速読んでみた。はてアニメと土木、言葉だけ見ると水と油ほど違うようだがどの辺りに接点があるのか
▼巻頭言にこうあった。アニメは物語を扱うため架空にせよ実在にせよある社会が提示される。「そこには土木が描かれ、時には制作者らの意図を超え、それらが重要なトピックとして浮上してくる」。言われてみればその通り。それを分かりやすく伝えるため、特集では人気アニメ『転生したらスライムだった件』の原作者伏瀬氏へのインタビューを掲載していた。この作品は通り魔に殺されたゼネコン技術者が異世界でスライムに転生し、誰もが幸せに暮らせる世界を造るため奮闘する物語である
▼伏瀬氏は舗装業を営む家に生まれ、中堅ゼネコンで長年修行もしてきた人だという。現場代人として経験した職人教育や発注者との調整、近隣住民対応といった苦労が作品に生かされているそうだ。インフラの重要性や事業効果、社会貢献について詳しく紹介する場面もあるらしい。土木技術者時代を振り返って伏瀬氏は言う。「大変なことは山ほどありましたけど、土木の仕事自体はとても面白くやりがいがあるんです。モノを作る楽しさってやつですね」
▼建設業の若者離れが語られて久しい。いろいろ理由はあろうが、アニメ同様新たな世界を造り上げる土木の喜びが伝えきれていないことも原因の一つでないか。若者に人気のアニメが土木の入り口になるのだ。参考に一読をお薦めする。