昔からよく聞かされてきた言葉に「注意一秒、けが一生」がある。ご存じの通り、一瞬の不注意が一生を駄目にするような大けがを招くとの教えだ。この「けが」だが自分とは限らない。他の人の場合もしばしばある。ときには命を奪ってしまうことさえ
▼これも不幸な出来事だった。北海道森林管理局石狩森林管理署の職員菅田健太郎さんがハンターの誤射で亡くなった恵庭の事故のことである。きょうで1カ月だ。先週、同局の新島俊哉局長が出した「狩猟者の皆様へのお願い」を見て胸が締め付けられる思いがした。こう書かれていたのである。「彼は38歳とまだ若く、奥さんと3人の小さな子供がいて、子供達もお父さんと遊ぶのが大好きでした。一家の大黒柱を失った奥さんや子供達をはじめご両親の大きな悲しみは、並大抵のものではない」
▼組織の長としてはもちろん、大切な仲間を失った一人の職員としても二度とこんな悲惨な事故は起こしてならないと、強く訴えずにはいられなかったのだろう。他にも、当時は葉が落ちて見通しが良く、菅田さんも十分目立つ姿をしていた点を指摘し「本当にすべての狩猟者一人一人にまで、狩猟関係法令と狩猟ルールが徹底されているのだろうか、と疑念を抱かずにはいられません」
▼「お願い」としては異例ともいえる強い調子だが、一瞬の引き金で人生を狂わされる人をこれ以上出さないためにはこれでも弱過ぎるくらいに違いない。大部分の狩猟者はルールを順守していよう。しかし猟銃所持の責任を考えれば、不心得な者は一人もいてはいけない。