「仕事や仲間」代え難いものに
「建設業を魅力ある産業に」というフレーズはことしも取材先で何度となく耳にした。聞く度に思うのは何をもって「魅力」なのかということだ。
建設業界では、担い手確保に向けて本年度から国や道などの一部工事で週休2日制導入を始めた。長時間労働抑制へ書類の簡素化も検討が進む。こうした動きは若者にはどう映るのだろうか。
若者の本音を探ろうと帯広工高環境土木科と道立帯広高等技術専門学院全5学科の学生250人にアンケートを実施した。週休2日制は約8割の学生が「仕事選びに影響する」と回答。職業選択で重視することを聞くと「給料」が20.8%、「休日」が18%に対し「職場環境」が40.8%を占めた。教師に話を聞くと就職先に学校の先輩がいるかどうかも進路選択の判断材料になるという。新しい世界に飛び込むより、今ある人の縁を大切にしたいようだ。
アンケートをまとめていた11月、十勝北西部通年雇用促進協議会のセミナーで平成建設(本社・静岡県沼津市)の秋元久雄社長が講演した。東大や京大卒も抱える高学歴大工集団を一代で築いた秋元社長は「やる仕事がそこにしかないから人が来る。うちは仕事が面白いから辞める人も少ない」と力説。同社は建築の主要工程を内製化し、施主の細かい要望にも対応できるようにした。職人は多能工を目指し、建築に関わるほぼ全ての工種を学ぶ。同業他社にはない個性的な仕事の形だ。
人が何を魅力に感じるかはもちろん十人十色だ。人材が超売り手市場の今、自社より魅力を感じたら転職も容易にできる。だからこそ仕事や働く仲間を代え難いものにする必要がある。その業界、その企業にしかない特色を魅力としてアピールできるかが鍵を握るだろう。(帯広支社・太田 優駿)