急転直下降って湧いた千載一遇の好機を逃さず、獅子奮迅の勢いで一気呵成(かせい)にこの難局を乗り越えよう―。ここまで重ねるのはいささかやり過ぎだが、流れにぴたりとはまれば言葉に迫力が増すのが四字熟語の魅力である
▼たったの四文字で一つの展開を表現できる上、歯切れ良い音も耳に心地良い。そんなところが毎年注目される理由でないか。ことしも住友生命保険の「創作四字熟語」が発表になった。優秀作10編を見るとなかなかバラエティーに富んでいる。ただ、道民としてはやはり「地震暗来」(疑心暗鬼)に目を止めないわけにはいかない。地震も悲惨だったがその後のブラックアウト(大規模停電)にはほとほとまいった
▼連続する真夏日や台風を映した「猛夏襲来」(蒙古襲来)、「台量発生」(大量発生)も多くの人の実感だろう。近年の気象は異常というほかない。その一方で感動もあった。サッカーW杯の「一蹴懸命」(一生懸命)と高校野球の「金農感謝」(勤労感謝)である。本道の世相を反映した熟語を筆者も考えたのでご笑覧いただきたい。地震は本家に任せそれ以外で、まずは「火事多難」(多事多難)。1月末に札幌の自立支援施設、今月に平岸の店舗と大きな火事で明け暮れした一年だった
▼「知事清々」(多士済済)。高橋はるみ知事は大仕事を終えすっきりした気分だろうか。そして何といっても「五輪夢中」(五里霧中)。平昌冬季五輪での道産子選手の活躍に連日、狂喜乱舞した。来年は無事息災で楽しい話題ばかりが百花繚乱(りょうらん)だといい。