「もういくつねるとお正月」。そんな童謡をふと口ずさんでしまう年の瀬である。振り返ると地震や気象災害に悩まされ、北朝鮮の軟化に淡い期待を抱き、米中の貿易戦争に付き合わされた2018年だったのでないか
▼「戊戌(つちのえいぬ)」は準備の整った事業が一気に成長し果実を得ると示していたのだが。さてこうなると気になるのは来年のこと。恒例により「干支(えと)」が物語るところを紹介したい。来る2019年は「己亥(つちのとい)」である。「己」とは三本の平行線をかたどった字で、筋道が正しく整っているさまを意味する。また十干では生命を育む滋養豊かな土の性質を有し、そこから全ての土台となる自分自身「おのれ」を象徴するようになったという
▼一方、「亥」はブタやイノシシの骨をかたどった字で、そこから導かれる意味は物事の根本である。さらに木の字を横に従え「核」の字を派生させたことでも分かる通り、強い生命力が種の中に凝縮されて存在する状態を表す。豊かな土と生命力の塊があるのだから良い年にならないわけがない、と思いたいが話はそう簡単でない。性質でいうと「己」と「亥」は土と水で、互いに相手を上回ろうと争う関係にある。つまり「おのれ」が力任せに暴走すると、何もかも台無しになってしまうかもしれないのだ
▼ただ、調和を大切にしながら筋道正しく努力すれば、翌20年に大輪の花を咲かせる立派な種が育まれると「己亥」は教える。どうやら新しい年はさらなる飛躍に備え、力をためる年といえそうだ。心してかかりたい。