言い間違いは誰にでもあるが、本人は正しく言っているつもりなだけに妙に滑稽なものである。ビートたけしさんがよく演歌歌手村田英雄をネタにしていた。村田さんが大きな音に驚きこう言ったという。「おい気を付けろ。俺の神経はバリケードなんだ」
▼この時期にいつも思い出すのは『言いまつがい』(新潮文庫)で読んだ、子どものこの一言である。「『おかあさん、〇〇君、エンゼルフーズなんだって』」。さて何と言い間違ったのか。「インフルエンザ」である。天使の食べ物と悪魔のようなウイルスでは似ても似つかないが、子どもは聞き覚えのある言葉をつなぎ合わせてみたのだろう。もう少ししたら親子でそんな不思議な会話をする機会が多くなるかもしれない
▼本道のインフルエンザ感染報告数が警報レベルで推移する中、今週後半から順次各地の幼稚園や小学校が3学期を迎える。学校が始まると感染者が増えるのは、子を持つ親なら経験的によくご存じだろう。子がかかれば親にもうつる。北海道感染症情報センターの定点観測グラフでも、例年1月半ばあたりに報告数がうなぎ上りとなり年間のピークに達する。つまり今が感染を広げるか抑え込めるかの瀬戸際というわけだ
▼対策もいろいろ言われてはいるものの、一番簡単で効果があるのは小まめな手洗いである。ウイルスはせっけんに弱いため、帰宅時や食事前には忘れず丁寧に洗うことを習慣付けたい。体調を整え、常に免疫力を高めておくことも大切である。暴飲暴食や睡眠不足はもってのほか。体は「デリケート」である。