戦後最長の景気拡大

2019年02月01日 07時00分

 タヌキは化けて人をだます動物としてつとに知られている。各地に伝承があるが、どちらかといえば少々間の抜けた話が多いようだ。こんな昔話を聞いたことがある

 ▼旅人が山奥で大入道に出くわした。いかにも恐ろしい姿だがよく見ると尻尾がある。察した旅人がさも怖そうに言う。「なんと大きい」。調子に乗った大入道はさらに大きく。旅人が演技を続けるとずんずん巨大化し、ついにはふっと消えてしまった。地面を見ると小さなタヌキが横たわっていて息も絶え絶えに一言。「これ以上は無理」。人もそうやすやすとはだまされない。さて、こちらの大入道はどうだろう。ずいぶんと大きくなったものの、やはり化かされている気がしないでもない

 ▼わが国の景気拡大期間が戦後最長の6年2カ月に達したというのである。政府が29日に公表した1月の月例経済報告で明らかになった。2002年2月から6年1カ月続いたこれまでで最長の「いざなみ景気」を超えたそうだ。つい眉に唾を付けたくなる。円安基調を背景にした貿易拡大や好調な企業収益、高い雇用率などがGDPの成長を支えているらしい。とはいえ伸び率は18年が1.2%(実質)。最高でも13年の2%だから物が飛ぶように売れ生活が一気に豊かになったかつての栄光の日々には遠く及ばない

 ▼消費税や社会保障の負担増が可処分所得を減らしているのも、成長の実感を薄いものにしていよう。待てよ、今回の統計不正で政府機関にはタヌキがたくさん住んでいると分かった。よく見ると成長率にも尻尾が付いているのでないか。


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