雪の事故

2019年02月22日 09時00分

 北海道をはじめとする雪国の住人にとって、大地を埋め尽くす雪はあって当たり前の存在であると同時に悩みの種でもある。詩人の津村信夫も「雪」と題する随想に、こんな感慨を記していた

 ▼「雪崩は人の家を埋め、人をも生き埋めにしたり、押しつぶしたりするものですが、町中にゐても、雪といふものは中々こはいものですね」。確かにその通り。さしずめ今の時期なら町中で怖いものといえば雪下ろしだろう。本道で事故が相次ぐ。17日には旭川市のアパートで雪下ろし作業をしていた67歳の男性が、屋根から落ちてきた雪に当たり死亡した。15日には京極町で倉庫の屋根から転落し、53歳の女性が亡くなっている。軽微なけがも含めると、実際には相当な数に上っていよう

 ▼道警のまとめでは昨冬(2017年11月―18年3月)発生した落氷雪や雪下ろしなどに絡む雪の事故は126件。22人が死亡している。やはり作業中に屋根やはしごから落ちたり、雪に埋もれて身動きがとれなくなるケースが多い。札幌管区気象台がきのう発表した週間予報によると、28日まで気温は平年より高めになるそうだ。特に今週末あたりはかなり高くなる見込みというから、雪下ろしを予定している人は要注意。暖気で緩んだ屋根の雪が、重さを増して急になだれ落ちる危険がある

 ▼できるだけ複数人で作業し、屋根に上る場合は命綱と安全帯の使用を徹底したい。先の随想で詩人が書き留めたおばあさんのひと言も覚えておいた方がいい。「あゝほんとに魂消(たまげ)えやした、雪も、どうして馬鹿にならない」。


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