胆振東部地震から半年

2019年03月06日 09時00分

 災害が発生したときには決して慌てず騒がず、一人一人が落ち着いて行動することが何よりも大切。とはいうものの、たいてい予告なしで襲ってくるものだから取り乱さずにいるのはそう簡単でない

 ▼池原綾子さんは詩「虫」でそんな家族の風景を描いている。「地震の時/母は毛布をかぶって/みの虫になった 父は壁によりかかって/蝉になった そして私は/健一郎にしがみついて/ひっつき虫になっていた」。池原さんは1995年の阪神淡路大震災を経験して、この詩を書いたという。北海道で初めて震度7を記録した昨年9月の胆振東部地震からきょうで半年。あの日、「みの虫」や「蝉」、「ひっつき虫」になった道民も多かったに違いない

 ▼それらに加え、本道ではほとんどの人が「さなぎ」になったのでないか。全域停電「ブラックアウト」で夜は闇の中にじっとしているほかなく、都市機能がまひしたため昼も活動を大きく制限された。安全な場所で電気の復旧を待つしかなかった2日間である。土砂崩壊や家屋倒壊が集中した厚真など3町には約220戸の仮設住宅が建てられた。今も不便な生活を強いられている方々がいる。農地が被災し、収入の糧を失った生産者もいるそうだ。厚真町の宮坂尚市朗町長もおととい記者会見を開いていたが復興はこれから

 ▼昨年の地震は文字通り、一寸先には闇が横たわっている事実をわれわれに教えた。2月21日にも余震とみられる大きな地震があり、冬の災害の恐怖を呼び覚ました。危機に際して慌てず騒がず。そのための備えを忘れてはいけない。


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