建材販売の司コーポレーションは、断熱材でできた基礎型枠「タイト・モールド」を提案している。一般的な鋼製基礎型枠と違い軽量な特殊スチロール素材のため、コンクリート打設後の型枠の取り外しが不要。工期を短縮し、基礎断熱施工が誰にでも高い精度で簡単にできるのが特長だ。
タイト・モールドは、発泡スチロールと同様のEPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)構成で、内部に型枠の強度保持と左右の接合のための金物が一体成型されている。
本社のある群馬県沼田市は、冬に気温マイナス10度以下になることから、グループ会社の工務店で寒冷地向けに効果的な基礎断熱を提案できないかを検討。15年ほどかけて開発した。
断熱効果の高い素材を凍結深度まで挿入し、基礎の両端を断熱材で挟むことで、外気がコンクリートに伝わるのを防ぐ。
軽量で女性や高齢の職人でも持ち運びが容易だ。工場で図面に合わせてユニットごとに製作してから搬入するため、現場作業が少なく、組み立てが早く済む。
同社の検証では、1階床面積が約66m²(20坪)の一般住宅の場合、ユニット搬入から型枠の組み立てまでを作業員2人で約4時間で完了できた。
浮かし型枠により、コンクリート打設やポンプ車の稼働が1回で済む。配管工事にすぐ取り掛かれるため、工期やコスト削減につながる。型枠の取り外しが不要なことから、玄関ポーチや設備の打設も同時にできる。
一般的な基礎施工では、段階的にコンクリート打設・養生をしながら施工するため、耐圧盤と立ち上がりコンクリートの間に継ぎ目が生じる課題がある。タイト・モールドは、浮かし型枠で耐圧盤と立ち上がりコンクリートを同時打設して一体化するため、継ぎ目のない安定した基礎を作り出せる。
内側の浮かし型枠は、ミリ単位で上下に調整可能。型枠の天端を水平に調整すると同時に基礎天端を決定できる。水平精度の高い基礎施工が簡単にでき、基礎工事の精度や土台据えの手間を大幅に改善する。
同社はタイト・モールドを使った、ベタ基礎とコンクリート一体化結合による地下空間の施工も提案。傾斜がある敷地での深基礎や基礎補強のための地中梁が1度の打設で完了できるので、顧客への提案の幅を広げられるという。
津久井潤一社長は「業者の多くが高齢化し、今までのやり方で続けられるかが問われている」と指摘。「保温性の高さや施工時の扱いやすさといった利点を強調し、全国に普及したい」と話している。