元気を取り戻した地域をよく調べると、「若者、ばか者、よそ者」が重要な役割を果たしている例が多いという。しがらみにとらわれず新風を吹き込むようだ
▼まちづくり支援に携わる山崎亮studio―L代表は、住民もよそ者を歓迎するところがあると語る。「ヨソモノが入ってきて、みんながやりたいと思っていることを堂々と語ってくれることを待っている」(『コミュニティデザインの時代』中公新書)。夕張市で2期8年市長を務め、「財政再生」に一定の道筋をつけたこの人も市長に就任した当初はまさに絵に描いたような「若者、ばか者、よそ者」だったのでないか。今回の北海道知事選で、相手候補に65万票以上の大差をつけ勝利した鈴木直道氏のことである
▼派遣で来ていたとはいえ将来が約束された東京都職員を辞め、財政破綻と過疎に苦しむ山奥の市の首長になるなど相当な「ばか者」でなければできない。その心意気にほれた道民も少なくなかったはず。しかも当時30歳の若さだった。その鈴木氏が今度は道知事。票数はそのまま期待の大きさだろう。ただ道政運営も楽ではない。やはり財政には悩まされよう。硬直化した予算でどれだけ独自色を出せるか。少子高齢化、産業、観光、防災―。課題は山積みである。道庁の大きな官僚組織、道議会、各種関係者等々、うるさ型も格段に増える
▼鈴木氏は38歳。「若者、ばか者、よそ者」の力はまだ失っていない。道民目線でありながらしがらみにはとらわれず、「みんながやりたいと思っていることを」大胆に実行してもらいたい。