学校のグラウンドによく置いてあった鉄製の整地ローラーを覚えている人は多いだろう。野球根性アニメ『巨人の星』(原作・梶原一騎)の主題歌に「思いこんだら」とあることから、重い「コンダラ」という名称の器具だと信じていた人もいたようだ
▼実際、かなり重量がある。少し押したくらいではピクリとも動かない。慣性の法則と摩擦の働きである。静止している物体を動かすには強いエネルギーがいるのだ。仕事にも慣性の法則があるのかもしれない。きのうは職場に向かう体を動かすため、相当なエネルギーを必要とした人もいたのでないか。暦通り10連休を手にした人ばかりではなかったろうが、例年の黄金週間以上に長く休めた人が少なくなかったはず。その間、仕事モードの頭と体は静止していた
▼一方でいつも出掛けている旦那や子どもが家にいて、食事の心配を三度三度しなければならない主婦にとってはようやく迎えた解放日。旦那が重い腰を上げるのに喜んでエネルギーを提供したろう。それはそうと、この連休明けに心配なのは五月病である。特に新人や異動者が陥りやすい。4月からひと月過ごしたところでの10連休。うまく気分一新できていればいいが、休日とのあまりの落差に仕事モードへと戻せない人も出てこよう。近頃は五月病になる前に退職を選ぶ人も多いと聞く
▼そこで再び慣性の法則である。物体はいったん動き始めるとあとは楽に動く。職場で重い「コンダラ」を動かせず悩んでいる人がいたら、最初だけ一緒に押してあげてほしい。叱責は摩擦を強めるだけだ。