サッカーで誤審

2019年05月21日 09時00分

 あまり軽々しく使ってはいけないと分かっていても、何かあるとつい口から出てしまうひと言に「ばか」がある。覚えのある人も少なくないのでないか。悪気のない失敗に半ばあきらめの気持ちを込めて言う「ばかだなー」から、取引先の信頼を失墜するへまをやらかした上に反省もしない部下を叱責するときの「ばか野郎!」まで。状況によって度合いは異なるが、相手の間違いを何かしら非難する点は変わらない。ばかは漢字で「馬鹿」と書く。俗説では秦の高官趙高が皇帝に、「珍しい馬がおりました」と鹿を献上した故事からきているという。「いえそれは鹿でございます」と進言した家臣は皆処刑された。「私が馬と言えばそれが馬」というわけだ

 ▼秦の高官ほどの力はないにせよ、サッカーの主審の権威もピッチの中では絶対である。その主審が17日のJリーグ「湘南ベルマーレ―浦和レッズ」戦で、どう見ても明らかなゴールをノーゴールと判定した。見ていた誰もが「そんなばかな」と思ったろう。湘南の杉岡大暉選手のシュートは右ポストに当たって跳ね返り、左のネットを揺らした。たぶん双方の選手も観客も誰もがゴールを認識していた。ところが主審だけは見逃していたらしい

 ▼湘南が猛抗議するも判定は覆らず、鹿が馬にされたままゲームは続行されたのである。得点を先行された湘南は最後に見事な逆転ゴールを決め勝利したが、それで誤審が帳消しになるわけではない。日本だからかろうじて「ばかだなー」で済んだものの、欧州や南米なら暴動が起きていてもおかしくなかった。


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