北海道胆振東部地震の発生から約9カ月。地中の土砂が流動するという甚大な被害があった札幌市の清田区里塚地区では、地盤改良による復旧工事の試験施工が始まり、4日、作業を市民に公開した。工事の統括責任者を務める五洋建設の鈴木定義さんが作業内容を説明。「皆さんが安心して暮らせるよう、使命感を持って取り組む」と、一日も早い復興に全力を尽くすことを誓った。
復旧工事の初弾となる試験施工は準備を含め5月末から着手。6月に土質調査の解析や設計を進め、同中旬から道路、7月には宅地で地盤改良作業に取り掛かる。
札幌市は「早期に工事を進めるには住民理解が重要」(須志田健市街地復旧推進室担当課長)と考え、工事に対する住民の理解や不安解消を図るため、作業の模様を地域住民に公開した。
集まった住民に対し、施工を担う五洋建設・伊藤組土建共同体の担当者が、地盤改良の施工方法を説明し、工程の一部を見せた。
宅地で注入する地盤の穴開けには、一定の音が生じるが、薬液注入時はほとんど騒音が出ないことなどを説明し、住民を安心させた。道路部の深層混合処理は、建設機械を使い地中に改良体を造成する作業を公開した。
地域住民の木村綾子さんは「言葉だけの説明より理解できた」と納得した様子。「また戻ってきて住めるかが大事」と話し、一日も早い生活再建を切望した。
復興の道のりは半ば。統括責任者の鈴木さんは「顔の見える関係で工事を進めることが大事」とし、地域の一軒一軒を自ら訪問して、地域と向き合いながら復興を目指す決意だ。