浦臼町に初めて、24時間営業のコンビニエンスストア・ローソンが1日オープンした。道内179市町村でコンビニがなかったのは浦臼町を含めて3町村。定住促進を進める町だが、利便性や快適な住環境を求めて隣接する市町村に若者が吸い寄せられていく。コンビニ誘致に成功した町は、これをきっかけに魅力あるまちづくりへの期待を膨らませている。(空知支社・鈴木 穂乃花記者)
ローソンがオープンしたのは、浦臼内182の20。札幌方面と道北方面をつなぐ国道275号に面し、JR浦臼駅や町役場がある市街地に位置する。農協のストアがあるため、高齢者らが陥る買い物難民発生というほどではなかった街だが、買い物に出向く選択肢は確実に増える。
「町長になる前から必要性は感じていた。町長に就任してから、主に若い人からコンビニ建設を求める声も多く、誘致に取り組み始めた」という斉藤純雄町長。4、5年前から誘致運動を進めていたものの「2社の大手コンビニチェーンに呼び掛けたが出店を断られ、正直諦めかけていた」。しかし自然災害も相次ぐ中、どの町でもコンビニはライフラインとして大きな役割を果たし、この町にも一つはほしいと考えていた。
斉藤町長が期待するのは、定住促進の一翼を担うコンビニの存在。「浦臼町の産業は農業メインで人口を増やしにくい町。そのため現在は保育所から中学まで給食費は無料、18歳まで医療費も無料など子育て支援に力を入れている。子育て支援により、出生率アップを目指すとともに、浦臼町が住みやすい町という印象を持ってもらいたい。町民にとって良い町であれば、たとえ町を出て行っても、町外に浦臼町の良い印象を広めてもらうことができ、UターンやIターンのきっかけにつながるのではないかと考えている」
オーナーとなる協立測量設計(本社・深川)は町民の生活環境の向上、観光客やドライバーらによる「交流人口が増加することによって町の活性化に少しでも協力できたらとの思いを強くして経営を決意した」。安居健太社長がその思いを語る。
進出を決めたローソンによると、「国道沿いは交通量が多く立地条件が良いということに加え、これまでコンビニがなかったという背景からコンビニへのニーズが高いと判断した」(広報室)と理由を示している。
人口1830人の農業のまちに不夜城ができる。悲願の実現から魅力あるまちづくりへと確実な歩みを進めるため、町関係者の実力が試される。
(北海道建設新聞2019年6月4日1面より)