日本は良い国か

2019年06月11日 09時00分

 デフレを背景とする低成長が長らく続いているのも一因だろう。日本の将来を悲観する意見をこのところしばしば目にする

 ▼いつの間にか国内総生産(GDP)は中国に追い越され、最先端のICT分野では米国の後じんを拝するばかり。社会学者エズラ・ヴォーゲル氏が「ジャパンアズナンバーワン」と呼んだ高度成長期や1980年代後半のバブル経済を知る高齢世代は、とりわけ強く日本の斜陽を感じていよう。「日本は暗いトンネルの中にいる」「わが国は既に三流国に成り下がった」。年配の方がそんな気持ちに襲われるのも分からないではない。ではこの時代の真っ只中を生きる若者はどうかといえば、見えている景色はまるで違うようだ

 ▼日本財団が先月末発表した〝18歳意識調査〟によると、「日本が良い国だと思うか」との問いに、76・9%の若者が「思う」と回答したという。「わからない」が16・4%あったものの、悪い国とする「思わない」は6・7%しかなかった。意外な高評価である。どこが良いのか。調査では理由も尋ねていた。最も多かった意見は「平和だから」。多少の停滞感はあっても紛争がなく、豊かで普通にご飯が食べられる日本は素晴らしいというのである。治安の良さや整ったインフラ、優れた伝統や文化を挙げる人もいた

 ▼さて、この調査結果を知ってどんな印象をお持ちだろう。今の日本が良いなんてそんなはずはないと思ったか、はたまた若者に日本の底力を教えられたと感心したか。気を付けた方がいい。悲観論の方が心地良いなら年を取った証拠である。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 日本仮設
  • web企画
  • 北海道水替事業協同組合

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,463)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,354)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,212)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,071)
おとなの養生訓 第170回「昼間のお酒」 酔いやす...
2019年10月25日 (863)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。