電気工事業の若手が取り組む高校生向けの親子説明会が好評だ。5日に札幌電気工事業協同組合青年部と札幌工高が開いた業界説明会は、参加希望者が定員の3倍となり、選抜が必要になったほど。メーカーや大手指向といわれている進路だが、関係者は地場企業が選択肢として定着したことを喜び、生徒が地域で活躍することを期待している。
電気工事士の高齢化や少子化に伴う将来的な不足が見込まれる中、同協組青年部は「進路決定に保護者の影響力は大きい」(安藤慎也部長)と考え、4年前から電気科生徒や保護者を対象に業界説明会を開催。生徒、保護者の双方に魅力や仕事のイメージが伝わるよう心掛け、地域の生活や産業を支える中小企業の良さをアピールしている。
5日に開いた札幌工高の説明会は、昨年に続き2回目。生徒と保護者が26社の青年部員とテーブルを囲み、仕事の進め方や給料、資格の必要性、待遇などで活発に懇談した。
前回の内容が生徒や保護者に口コミで広まり、学科の生徒ほとんどの240人が参加を希望する人気ぶり。学校で進路希望を精査し、80人に絞り込んだ。小野博道副校長は「生徒が地場企業に定着することが大切。親子で理解が進む説明会は効果が高い」と歓迎する。
懇談後、2年生の松本大河さんは「当たり前に電気が使えるよう工事で支えたい」と話し、同じく2年生の松田賢篤さんは「大きいビルの配線図を描き、自分が造ったと言えれば」と入職への思いを強くした。
先駆的な活動に道内他の青年部の見学も多いという。全国団体の全日本電気工事業工業組合連合会を通じ、ノウハウ提供を求められるなど注目されている。
人材確保は企業の大きな課題。安藤部長は「反響が高まり期待や責任が大きくなった。引き続きニーズを捉え、地元に貢献する人材の確保につなげたい」と話している。
(北海道建設新聞2019年6月8日付12面より)