はやぶさ2地下試料採取成功

2019年07月12日 09時00分

 近頃はいろいろな場面でドローンを活用する例が増えている。最も進んでいるのは映像分野だろう。テレビなどでは少し前まではあり得なかった、中低空の視点からの迫力ある風景が見られるようになった。建設工事やインフラ維持での点検、測量といった産業分野への応用も進む

 ▼操縦は適当に飛ばして遊ぶ程度ならさして難しくないが、映像や産業用として使うとなるとやはり一定の知識と熟練の技が必要という。高い操縦能力、正確な空間認識、風や障害物の把握。目視で動きを確認しながら操るドローンにしてこの要件の多さ。とすると、単純に比較はできないものの、小惑星「リュウグウ」から3億㌔離れた地球から「はやぶさ2」をコントロールする難しさは一体どれほどなのか

 ▼JAXAがきのう、リュウグウ内部の物質を採取する2回目のタッチダウン(着地)に挑み、見事成功させた。先の運用で爆破によりあらかじめ飛散させておいた地下の物質を本体に収容したもので、世界初の快挙である。はやぶさ2との通信には往復27分かかる。ただし画像や映像はさらに時間を要するためミッション中は使えない。チームは時差を考慮し、観測数値だけを頼りに頭の中で現地を立体的に再構築。誤差数㌢の精度で直径7㍍の目標に着地させた

 ▼ドローンのように風で飛ばされないことだけが救いか。まさに神業だが実は運が入り込む余地はほとんどない。綿密な計画と科学、そしてチームワークの勝利である。さあ、後は無事に帰ってくるだけ。生命の起源を解き明かすかもしれない試料を抱えて。


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