道内経済人にとって話しやすい存在に
日本政策投資銀行北海道支店の友定聖二支店長が、このほど着任1カ月を迎えるに当たり北海道建設新聞の単独インタビューに応じた。同氏は釧路市生まれで、大学卒業まで本道で過ごした北海道人。社内外とのコミュニケーションを活発にし、道内経済人にとっても話しやすい存在になりたいと抱負を語った。
(経済産業部・吉村 慎司、武山 勝宣)
―北海道支店勤務は7年ぶりと聞く。
2010―12年の課長時代以来だ。それ以前、政投銀が発足した1999年からの約4年半も札幌。このため、今回が3度目になる。実を言うと最初の時に札幌市内に自宅を購入し、単身赴任生活を長く続けてきた。
―生まれ育ちも道内。
公務員だった父の転勤で、幼少のうちに釧路から音更、小2で興部、中3で訓子府へと移り住んだ。大学は札幌。卒業して北海道東北開発公庫(政投銀の前身)に入るまで北海道から出たことがなかった。
―今までどんな仕事を。
札幌ではJR駅のステラプレイス開発など、それから東京に異動してベンチャー支援に関わっていたが、途中から総務、経営企画に配置された。当時は小泉純一郎首相主導で行政改革、民営化が進められた時代。政投銀も特殊法人から株式会社に完全民営化することになり、そのための法律を作るという珍しい仕事を経験した。
―道内経済をどう見る。
全国よりハイペースの少子高齢化は懸念しているが、率直に言えば経済状況はそれほど悪くないと感じている。特にインバウンドの増加はプラス材料。定住者人口が減る分、彼らが道内各地で消費してくれることが重要性を増す。今後、生活の上で地元と外国人がうまく共生することが大事だ。
―道内空港民営化で今月、政投銀を一員とする企業連合が優先交渉権者となった。政投銀は関西空港などにも関わってきたが、民営化で空港はどう変わるのか。
道内空港民営化に関しては基本協定もまだで、今は私自身内容を全く知らず何も言えることがない。前任地の関西に関しては、かつて「関空・伊丹の対決」という構図があったところ、16年の民営化を機に「関空・伊丹の共存」に変わった。地味と見られがちだった伊丹の空港ビルは、来年のグランドオープンに向けて段階的にリニューアルしている。搭乗客以外にも足を運んでもらえる施設になろうと、まず飲食店を飛躍的に充実させた。
―道内の地方空港の活性化策は。
空港間連携の強化がポイントだろう。例えば釧路空港から来道した人が、阿寒湖、知床を見て女満別空港から帰る、旭山動物園を見て旭川から帰るなど、より多くの空港が使われるツアーも大事だ。着任してまだ地方に行けていないが、あいさつ回りを兼ねて各地を訪ね、地域の方とお話しながらアイデアを考えたい。
―新支店長として今後どんなカラーを出す。
政投銀と聞くと硬く感じたり、中には、首都圏育ちの人がたまたま異動で支店長になってすぐいなくなるようなイメージで捉えたりする人もいるだろう。だが私は道内、特に地方の経験が長く、地元愛は相当に強いと自負している。部下からも社外の方々からも、何でも話せると思える存在になれるよう心掛けたい。
(北海道建設新聞2019年7月29日付2面より)